京都コングレス エクスカーション

更生保護活動の動き

2021年3月9日14時30分ー16時

エクスカーション

令和3年3月7日から12日まで、国立京都国際会館において、第14回国連犯罪防止刑事司法会議(京都コングレス)が開催されました。その期間中の8日と9日の2日間、海外からの参加者が、京都の更生保護サポートセンターを訪ねて、保護司の実際、すなわち体験や感じていることを直接聞くというエクスカーション(体験型見学会)が実施されました。

上京保護司会エクスカーション

9日、当上京保護司会のサポートセンターにも、エジプト大使館員、スリランカからの大谷大学留学生、タイとインドからの名古屋大学留学生の4人の海外からの方々をお迎えしました。これらの方々以外に、法務省大臣官房国際課の職員2人と保護局職員、そして京都保護観察所の所長 企画調整課長 統括保護観察官、通訳の方および当保護司会保護司10名計21名で会が催されました。

会議の進行

会議は、まず初めに、あらかじめ用意した (1) 上京区の歴史的な成り立ちや保護司会活動、(2) 上京地域の現状、(3) サポートセンターでの活動などについてのテキストを、各担当保護司が読み進め、ゲストは英訳されたテキストの該当箇所を黙読する形で進められました。

次に保護観察対象者を担当したケースのエピソードを英語で紹介しました。
その後、発表内容についての質問とその他保護司についての自由な質問を受け付けたのですが、通訳の方のみごとな質問のさばき方に助けられたこともあり、4人の外国の参加者から次々質問があり、日本の保護観察について知りたいという執意が伝わってきました。答える側の保護司も、飾ることなく自分の素直な気持ちや経験を話されたと思います。

質問と応答のひとこま

そのやり取りのひとこまをご紹介します。

参加者A保護司の仕事には保護観察対象者の面接や〝社会を明るくする運動″など種々の活動があり、とても時間を費やす仕事だと思うが、時間管理はとのようにされているのか。仕事との両立はとのようにされているのか。このような仕事をボランティアでされているとは信じられない。
保護司160歳まで自営業をしていたので、とても両立は無理だと思っていたが、その後は仕事を減らしたので、余裕ができやっていけた。保護司の仕事はいろいろあり忙しい面があるが、やりがいがあると思っている。
保護司2上京区は新興住宅地でなく、昔から何代も住み続けている人が多い地域で、2世代、3世代同居の家庭が多く、地域の子ともは地域で見守るのが当たり前になっている。そのような環境の中でPTAの役員や少年補導員を経験し、地域の絆の中で子どもたちを見守ってきた。地域活動をする中で、更生保護女性会のボランティアを経て保護司になった。
参加者Bタイにも保護司制度はあるが、一般の人に余り知られておらず、このように相談に来られる場所がない。困ったときに行くところがないので、医者に行く。日本では、サポートセンターで相談できるのでうらやましい。
参加者C皆さんを(犯罪者の更生支援に)駆り立てているものは何か。
保護司3保護司になるまでは、普通の人間と悪い人間、白か黒かといった考え方があった。保護司になって、自分も彼らとつながっている細かな刻みの一つと感じるようになった。彼らと自分との間に共通した部分もあり、他人ことと思えない。
保護司4保護観察対象者と価値観を共有できる場合とそうでない場合がある。価値観が合わないと話が続かないが、保護司になって、いろいろな価値観をもっている人がいると感じられるようになった。違う価値観をもった人にも、初めからダメなことと決め付けないで、「そうなんだね」と受け止める心があって、そこに保護観察があるのかなと感じている。
本当に短い時間でした

終了後、参加者全員で記念写真を撮り、会場となった報恩寺の見学をした後に、皆さんと一緒にマイクロバスの待っている場所まで歩き、参加保護司全員で手を振り見送りました。国は違っても、更生保護に対する執意は同じだと感じられた一日でした。

スナップショット

『更生保護』6月号「京都コングレスでエクスカーションを実施」(大橋憲宏氏 寄稿文)をもとに編集しました。

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